2011年01月26日
MMAファイターズツアー・セミナーレポートbyDario小林
Ola!
上海レポートでは、ありがとうございました。
再度登場のDario小林です。
少し時間が経ってしまいましたが、13日に行われたMMAセミナーの模様をレポートします。
指導者は強豪ネイト・クォーリーを筆頭に計6名、その中には、グラップリングでサウロ、シャンジ兄弟を破り、ジェフ・モンソンから一本を取っているジョン・アシスも入っています。
「え!?そんな豪華なセミナーがどこで開催?」
このブログの読者の方ならセミナー、試合の日程を常にチェックされていることと思います。
みなさんが気づかなかったのには理由があります。
実はこのセミナー、在日米軍基地の関係者を対象に行われたもので、Darioが参加したのは横須賀基地が主催のもので受講費も無料でした。
ちなみに沖縄でも同様なセミナーが開かれました。
今回の会場は横須賀基地内にあるスポーツジムのネイビーフィットネス。
そちらのスポーツトレーナーであるカイル・ローデス氏が横浜のヒロ・ブラジリアン柔術の所属なので、道場主の馬場弘樹氏はじめ複数の道場生を招待してくれるとのこと、Darioも混ぜてもらった次第です。
横須賀ベースは京急汐入駅から徒歩10分のところにあります。
駅を降りると、なんとなく外国人の方が多いような気がします。
ごくありふれた町並みの中、やたら大きな拳銃をぶら下げた迷彩服の係員がドーンといる建物が現れます。
彼に鞄の中を開けられ、金属探知機でチェックされ、ようやく入場申請の事務所に入ります。
ベースに入場するにはパスポート、戸籍など本籍が記載されたドキュメントが必要です。
よくよく考えれば、日本であって日本ではない場所ですから当たり前なのですが、無知なDarioはラッシュガードしか持っていなかったのでベースに入れないと大慌てでしたが、カイル氏の奥様の機転で本籍記載の運転免許証で入ることができました。
感謝。
事務所を出ると、いよいよ基地内へ。
「STOP」と書かれたゲートや詰め所にはライフルを持った迷彩服の門番たちがいます。
まさにアクション映画で見るアメリカです。
入場審査?に時間がかかってしまったので急いで会場に入るとセミナー主催者が各ファイターの紹介と、彼らが自己紹介をしているところで、ギリギリ実技には間に合いました。
かなり広いマットスペースですが、参加者が100名くらいいますのでギュウギュウです。
ファイターたちが、それぞれが得意技を一つずつ教えていく形式でセミナーは進められました。
まずは二人組みになって前蹴りをさばいてローキックのかえしです。
ポイントは相手の足を手のひらでしっかりと引っ掛けてバランスを崩させること、そして自分は相手の背後についてキックをする。
格闘技にあけるポジショニングの重要性を強調していました。
セミナーは米軍施設での開催だったので参加者は軍人ばかり!
次は向かい合った状態から、相手の攻撃をかわすべく半歩ずれての膝立ちタックルです。
自分の足をかかと、つま先の順で、相手の両足の間に送ることが自分の体重を巧く乗せるコツ。
また両足をつかむときには足の付け根をホールドすることで相手に踏ん張らせない。
相手を抱えるときには首や顔も使う。
この形を作られてしまうともう動けません。
タックルを仕掛けた方は相手を頭から床に叩きつけることが可能です。
おそろしい壊し技です。
この半歩動いてのタックル打ち込みを二人組みでやっていたのですが、今回の参加者のほとんどは格闘技未経験者でしたのでうまく練習できません。
予定を変更して、まずは膝立ちタックルの足運びを練習することになりました。
みんなが運足をできるようになったところで、また二人組みで打ち込みをしました。
3番目のテクニックは、お互いにオーソドックスな立ちから背後をとる動きでした。
MMAなので打撃を想定し、相手の左ジャブからの組み立てです。
ジャブではなく、いきなり左フックが飛んでくることもありますので自分の右手は顔を守る位置に置き、左手は牽制も兼ねて相手に向けておきます。
相手が様子見をしている時やジャブの打ち終わりに合わせて左手で相手左腕の二頭筋をつかみます。
つかんだら自分の左側に引き寄せるようにし、自分は右側に動き、相手の背後をとります。
基本的にはアームドラッグの動きです。
いよいよDario期待のジョン・アシスのテクニック。
2番目にやった強烈タックルのカウンター技、ギロチンチョークです。
相手のタックルに反応、半歩下がって首を取るスペースをつくると頭に腕をまわして引き込みます。
相手が立ち上がらないように、外側にある足で相手の背中を抑えます。
相手の足の間にあった足はエビをして抜き、相手の腰骨に置いて、相手との距離をコントロールします。
背中に置いた足による押し付けが強ければ片足でもギロチンは極まりますが、相手が大きい、力が強い場合は、すばやく腰骨の足をまわしてクローズガードにすると良いそうです。
引き込んだものの頭にまわした腕が外れ、ギロチンがかけられない場合。
背中の足のプレッシャーを効かせながら、相手の腕を取り、腰骨の足を頭にまわし三角絞め。または相手の腕を流し、腰骨を蹴りながらバックを奪う。
ジョンいわく「僕は試合のときはいつも、どうやったらバックポジションが取れるか考えている。」
引き込んだ態勢からの3つの攻撃バリエーションを習ったので、参加者はこれを自由に組み合わせての練習を命じられます。
練習中、ファイターたちが細部について色々とアドバイスしてくれます。
最後にビッグネームである“ロック”ことネイト・クォーリーの登場です。
ガードにつかまった状態からの攻撃です。
ガードの中から体を起こし左右フックを放ちます。
相手が両手で顔を守ると、その隙間を狙って縦肘を落とします。
ポイントは頭を上げて、相手との距離を取ってガードしている相手に展開を作らせないこと、縦肘を落とすときには腕を大きく伸ばすと効果的な一撃を出せる。
肘ありなMMAで活躍しているだけに強烈な攻撃技です。
フックで注意力を散らしているので、巧く顔のガードを抜けて額や鼻に当てることができます。
二人組みでの練習ではフックは平手で、肘も直前で止めるようにしていましたが、腕を伸ばすと体重が乗ってしまうので寸止めできずに、軽く当ててしまう人が続出でした。
これにてセミナーは終了。
次いで参加者による質問大会が、Darioは英語がよくわかりませんが、あまり深い質問はなかったはずです。
例えば「簡単に強くなるにはどうしたら?」「簡単には強くなれません。良い指導員について練習して下さい」みたいな感じです。
各選手の出身地や経歴などプロフィールが語られ、ついで一日の練習時間や練習サイクルを答えたところは興味深かったのですが聞き取れず。
別な意味で面白かった質問では「この中でラウンドガールをノックアウトした選手はいますか?」「まだです。でもいつかノックアウトしたいと思っています。」「俺は寝技で極めたいです。」全員爆笑でした。
そして記念撮影、サイン会でセミナーは幕を閉じました。
セミナー後のサイン会の様子
最後は強引に取ってきたジョン・アシスのコメントを紹介しましょう。
――あなたの格闘歴は?
「僕はブラジル、ポルトアレグレの出身です。格闘技が強くなりたくてマリオ・ヘイスの柔術アカデミーへ入門し、マリオやファブリシオ・ヴェルドムたちと練習をしていたんだ。ある時マリオが「お前は体が大きいからサンパウロへ行って、レオジーニョたちと練習しろ。そうすればもっと強くなれるぞ。」そう勧めてくれたのでブラザへ移籍、そのままチェックマットの所属となっています。現在はアメリカに在住してMMAの練習をしています。」
――いまはMMAだけで柔術の練習はしていないのですか?
「知っていると思うけれどグラップリングの分野で、僕は名前を上げることができた。もちろんグラップリングの練習はしている。ただ僕にとってMMA、グラップリングは生活のための手段です。だから一生懸命練習はしている。だけど本当に愛しているのはギ、柔術だよ。柔術の技術は奥が深いと思うんだ。結構な年齢なのに、僕ならのような若者を振り回す人とかいるだろう?そういう人を見ると柔術ってすごいと感じる。いまは、なかなか練習時間を割けないけれど、一段落したら再開したいと思っています。」
――日本の印象は?
「おととい到着したので、まだよくわからないけれど、日本人は僕らの持っている技術にリスペクトをしてくれるそうだから良い印象を持っていた。このセミナー中、君たちみたいに見ず知らずの日本人たちが僕の話を真剣に聞いてくれ、また暖かく接してくれたので、日本の良さを一層感じました。この後の沖縄セミナーも楽しみにしています。今回は米軍基地限定なので、あまり多くの日本人と知り合えません。また改めて来日して、その時には僕の技術をより多くの格闘技ファンに見せたいと思います。どうもありがとう。」
いかがでしたか?
写真撮影がネイビースタッフなので、技術を見たいみなさんには少しご不満な点もあるかと思われますが勘弁で。
また機会を改めてジョンたちのテクを取材できればと思います。
それではまたお目にかかれるまでAte logo!!
©Bull Terrier Fight Gear
横須賀ベースは京急汐入駅から徒歩10分のところにあります。
駅を降りると、なんとなく外国人の方が多いような気がします。
ごくありふれた町並みの中、やたら大きな拳銃をぶら下げた迷彩服の係員がドーンといる建物が現れます。
彼に鞄の中を開けられ、金属探知機でチェックされ、ようやく入場申請の事務所に入ります。
ベースに入場するにはパスポート、戸籍など本籍が記載されたドキュメントが必要です。
よくよく考えれば、日本であって日本ではない場所ですから当たり前なのですが、無知なDarioはラッシュガードしか持っていなかったのでベースに入れないと大慌てでしたが、カイル氏の奥様の機転で本籍記載の運転免許証で入ることができました。
感謝。
事務所を出ると、いよいよ基地内へ。
「STOP」と書かれたゲートや詰め所にはライフルを持った迷彩服の門番たちがいます。
まさにアクション映画で見るアメリカです。
入場審査?に時間がかかってしまったので急いで会場に入るとセミナー主催者が各ファイターの紹介と、彼らが自己紹介をしているところで、ギリギリ実技には間に合いました。
かなり広いマットスペースですが、参加者が100名くらいいますのでギュウギュウです。
ファイターたちが、それぞれが得意技を一つずつ教えていく形式でセミナーは進められました。
まずは二人組みになって前蹴りをさばいてローキックのかえしです。
ポイントは相手の足を手のひらでしっかりと引っ掛けてバランスを崩させること、そして自分は相手の背後についてキックをする。
格闘技にあけるポジショニングの重要性を強調していました。
セミナーは米軍施設での開催だったので参加者は軍人ばかり!
次は向かい合った状態から、相手の攻撃をかわすべく半歩ずれての膝立ちタックルです。
自分の足をかかと、つま先の順で、相手の両足の間に送ることが自分の体重を巧く乗せるコツ。
また両足をつかむときには足の付け根をホールドすることで相手に踏ん張らせない。
相手を抱えるときには首や顔も使う。
この形を作られてしまうともう動けません。
タックルを仕掛けた方は相手を頭から床に叩きつけることが可能です。
おそろしい壊し技です。
この半歩動いてのタックル打ち込みを二人組みでやっていたのですが、今回の参加者のほとんどは格闘技未経験者でしたのでうまく練習できません。
予定を変更して、まずは膝立ちタックルの足運びを練習することになりました。
みんなが運足をできるようになったところで、また二人組みで打ち込みをしました。
3番目のテクニックは、お互いにオーソドックスな立ちから背後をとる動きでした。
MMAなので打撃を想定し、相手の左ジャブからの組み立てです。
ジャブではなく、いきなり左フックが飛んでくることもありますので自分の右手は顔を守る位置に置き、左手は牽制も兼ねて相手に向けておきます。
相手が様子見をしている時やジャブの打ち終わりに合わせて左手で相手左腕の二頭筋をつかみます。
つかんだら自分の左側に引き寄せるようにし、自分は右側に動き、相手の背後をとります。
基本的にはアームドラッグの動きです。
いよいよDario期待のジョン・アシスのテクニック。
2番目にやった強烈タックルのカウンター技、ギロチンチョークです。
相手のタックルに反応、半歩下がって首を取るスペースをつくると頭に腕をまわして引き込みます。
相手が立ち上がらないように、外側にある足で相手の背中を抑えます。
相手の足の間にあった足はエビをして抜き、相手の腰骨に置いて、相手との距離をコントロールします。
背中に置いた足による押し付けが強ければ片足でもギロチンは極まりますが、相手が大きい、力が強い場合は、すばやく腰骨の足をまわしてクローズガードにすると良いそうです。
引き込んだものの頭にまわした腕が外れ、ギロチンがかけられない場合。
背中の足のプレッシャーを効かせながら、相手の腕を取り、腰骨の足を頭にまわし三角絞め。または相手の腕を流し、腰骨を蹴りながらバックを奪う。
ジョンいわく「僕は試合のときはいつも、どうやったらバックポジションが取れるか考えている。」
引き込んだ態勢からの3つの攻撃バリエーションを習ったので、参加者はこれを自由に組み合わせての練習を命じられます。
練習中、ファイターたちが細部について色々とアドバイスしてくれます。
最後にビッグネームである“ロック”ことネイト・クォーリーの登場です。
ガードにつかまった状態からの攻撃です。
ガードの中から体を起こし左右フックを放ちます。
相手が両手で顔を守ると、その隙間を狙って縦肘を落とします。
ポイントは頭を上げて、相手との距離を取ってガードしている相手に展開を作らせないこと、縦肘を落とすときには腕を大きく伸ばすと効果的な一撃を出せる。
肘ありなMMAで活躍しているだけに強烈な攻撃技です。
フックで注意力を散らしているので、巧く顔のガードを抜けて額や鼻に当てることができます。
二人組みでの練習ではフックは平手で、肘も直前で止めるようにしていましたが、腕を伸ばすと体重が乗ってしまうので寸止めできずに、軽く当ててしまう人が続出でした。
これにてセミナーは終了。
次いで参加者による質問大会が、Darioは英語がよくわかりませんが、あまり深い質問はなかったはずです。
例えば「簡単に強くなるにはどうしたら?」「簡単には強くなれません。良い指導員について練習して下さい」みたいな感じです。
各選手の出身地や経歴などプロフィールが語られ、ついで一日の練習時間や練習サイクルを答えたところは興味深かったのですが聞き取れず。
別な意味で面白かった質問では「この中でラウンドガールをノックアウトした選手はいますか?」「まだです。でもいつかノックアウトしたいと思っています。」「俺は寝技で極めたいです。」全員爆笑でした。
そして記念撮影、サイン会でセミナーは幕を閉じました。
セミナー後のサイン会の様子
最後は強引に取ってきたジョン・アシスのコメントを紹介しましょう。
――あなたの格闘歴は?
「僕はブラジル、ポルトアレグレの出身です。格闘技が強くなりたくてマリオ・ヘイスの柔術アカデミーへ入門し、マリオやファブリシオ・ヴェルドムたちと練習をしていたんだ。ある時マリオが「お前は体が大きいからサンパウロへ行って、レオジーニョたちと練習しろ。そうすればもっと強くなれるぞ。」そう勧めてくれたのでブラザへ移籍、そのままチェックマットの所属となっています。現在はアメリカに在住してMMAの練習をしています。」
――いまはMMAだけで柔術の練習はしていないのですか?
「知っていると思うけれどグラップリングの分野で、僕は名前を上げることができた。もちろんグラップリングの練習はしている。ただ僕にとってMMA、グラップリングは生活のための手段です。だから一生懸命練習はしている。だけど本当に愛しているのはギ、柔術だよ。柔術の技術は奥が深いと思うんだ。結構な年齢なのに、僕ならのような若者を振り回す人とかいるだろう?そういう人を見ると柔術ってすごいと感じる。いまは、なかなか練習時間を割けないけれど、一段落したら再開したいと思っています。」
――日本の印象は?
「おととい到着したので、まだよくわからないけれど、日本人は僕らの持っている技術にリスペクトをしてくれるそうだから良い印象を持っていた。このセミナー中、君たちみたいに見ず知らずの日本人たちが僕の話を真剣に聞いてくれ、また暖かく接してくれたので、日本の良さを一層感じました。この後の沖縄セミナーも楽しみにしています。今回は米軍基地限定なので、あまり多くの日本人と知り合えません。また改めて来日して、その時には僕の技術をより多くの格闘技ファンに見せたいと思います。どうもありがとう。」
いかがでしたか?
写真撮影がネイビースタッフなので、技術を見たいみなさんには少しご不満な点もあるかと思われますが勘弁で。
また機会を改めてジョンたちのテクを取材できればと思います。
それではまたお目にかかれるまでAte logo!!
©Bull Terrier Fight Gear