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2012年04月10日

【セルフレビュー】『頭とカラダで考える・大賀幹夫の寝技の学校・抑え込み編』


ブラジルブログの読者の皆さん、こんにちは。

「ねわざワールド」という団体の代表の、大賀幹夫(おおが・みきお)と申します。

先日、4月2日月曜日に晋遊舎さんから、DVD付の寝技の技術書を出版しました。

この場をお借りして本の紹介させていただきます。

頭とカラダで考える・大賀幹夫の寝技の学校・抑え込み編
出版社: 晋遊舎。定価:2,520円。DVD付

本書は、去る1月10日に出版した、頭とカラダで考える・大賀幹夫の寝技の学校・引き込み編 の姉妹編になります。

(大賀が書いた引き込み編のレビューはこちら。)

おかげさまで、前著は多くの方から好評の声をいただきました。

★ブラジルブログでの、林俊介選手(黒帯)のレビューはこちら、ツイッターのまとめはこちらから。

また、ゴング格闘技で「教えて、教授!」の連載をお持ちの松原隆一郎先生(東京大学教授。社会学者、経済学者。国際空道連盟大道塾ビジネスマンクラス師範代。東大柔道部部長)には、前著の引き込み編をご覧になり、内容を評価していただいたおかげで、今回の抑え込み編の帯に推薦の言葉を寄せていただきました。

本の内容ですが、今回の抑え込み編では、「人間を抑え込む」ということの本質(もちろん、現在の大賀が考える本質ですが)と、それを実現させるための細かいコツを徹底的に説明しています。

引き込み編をご覧いただいて、ああいう説明が肌に合うと思っていただいた方には、是非お勧めです。

また、身体が固いとか、ウエストが太い方には、前著のように下からの足の使い方を多く説明したものは、使いづらかったかもしれませんが、今回の本は、ほとんどあらゆる体型の方に使えます。

また、柔道をされいている方にもお勧めです。柔道だったら、下になったら亀になればよいので下からの攻めが上手くなる必要はさほど無いですが、上から抑え込む技術があると非常に有利です。

立技で崩して転がして本書の方法で「抑え」込めは一本勝ちできるからです。

値段は2520円です。

本書に書いてある様々な基礎的なコツ、例えばP68の首の固め方一つとっても、知らなかった方にとっては、これを知らないまま数年練習を続けて苦労することを考えると、これを知るだけでもその値段の価値は十分あると思います。

是非、書店やネットショップでお買い求めいただきますようお願いします。

ブログ、掲示板、mixi、Twitter、Facebookやアマゾンのレビューなどでの感想も、是非お願いいたします!

本題は以上です。以下、少し話は外れます。

ご興味のある方だけお読みいただければ幸いです。


柔術新聞さん http://ameblo.jp/busujiujitsu/ などのブログにも書かれている通り、現在、寝技の技術は世界的にどんどん進歩しています。

大賀の考えですが、技の説明方法にも進歩が必要です。
いつまでも「こういうふうに先生に習ったから」と言って、その通り他の人に説明していては、世界水準においていかれるばかりです。

世の中に、改善できないものなど何一つありません。

それによって「寝技に興味があって柔術始めたけど、結局分からないから辞めた」という人を減らすことができますし、業界の技術レベルを引き上げることもできます。

自分が4年かけて到達した水準に、弟子は2年で到達させて、孫弟子は1年で到達させる、くらいの意識改革が指導者にも必要です。

そうすれば、弟子は余った2年、孫弟子は3年を使って、もっと高いレベルに到達することができます。

そうなれば、指導者もそれを教えてもらうことができます。

年寄りにはノウハウがあるといいますが、若い人の発想の方が思いもつかなかった方法でレベルを飛躍的に上げる可能性がありますし、そちらを尊重する風潮になったほうが良いと思います。

また、多くのノウハウを蓄積して共有することが必要です。

どうも日本で格闘技をやっている人は「技を教えても、できない場合は、できないやつが悪い」とか「技の細かいところを考える奴はかっこ悪い。本当に勝つ人間はそんなことは考えない」とか「これのスタイルが正しい、他のは邪道だ」という風潮がある気がしますが、陸上や水泳やゴルフなどメジャースポーツの雑誌を読むと、単純な、足を動かすとか、水をかくとか、グラブを振るといった動作に対して、懇切丁寧かつ、様々な種類のアドバイスが山のように載っています。

まったく関係ない競技をしている大賀にとっても、読んでいると時々、殴られたような衝撃が走るような、自分では考えもつかなかったアドバイスを見つけることが多いです。

もちろん、それらのアドバイスは玉石混淆かもしれませんが、すべて、レベルと、状況に応じてそれを使う必要があるから存在しているはずです。

読者も「これは自分には合う、これは合わない」と取捨選択して取り入れていると思います。

格闘技業界も、試合結果や選手の発言や動向などにばかり興味が集まるのではなく、やるためにしろ、見るためにしろ、純粋な技術についても、もっと耳目が集まるような、成熟した業界になることを期待しています。

2003年6月に中井さんの「バイタル柔術」が発売されました。

それ以前は、そういう体系や技があること自体が一般的には知られていなかったため、それを広く世に知らしめた、という点で、画期的な本でした。

それ以来、多くの書籍や動画を入手できるようになり、多くの技の形は、愛好者には普通に知識として備わっていることと思います。

次の段階は、広く知られている方法を、もっとレベルの高い方法で実践できるための方法論についての活発な議論だと思います。

ちょっとしたコツを知るだけで、今までできなかった技ができるようになることは多いです。

そうであれば、そのちょっとしたコツに触れる機会を増やすことが、業界全体の技術のレベルアップのために必要になります。

本書の内容は、前著にも書きましたが、大賀が柔術黒帯になってから、常識にとらわれず、すべてを根本から考え直し、理論を再構築したものがほとんどです。

ですから、不完全なところはもちろん、間違った説明もあると思います。

また、本書を目にする方にとっては、少なからず反発を覚える項目も少なくないと思います。

おそらく、先生に習った方法と微妙に違うやり方で説明してあることが多いと思うからです。

しかし、そういうところから、議論が始まるのだと思います。

もはや、十字絞めを説明するのに、

「右手で相手の右襟を逆手で取って、左手で相手の左襟を順手で取って、ぎゅっと絞める」

という言葉で済む時代ではありません。

多くの人は、形は知っています。

求められているのは、それを実戦で使うための細かいコツなのです。

それを説明できるのは、実際に実戦で使える人以外にありません。

そして、逆説的になりますが、得意技というのは、実は他人に説明することがとても難しいのです。

なぜなら、その人にとっては、できるのが当たり前であり、なぜ他の人ができないのかは分からないからです。
しかし、それは技のポイントが身体では分かっているけど、頭では理解できていないということです。

それでは人に教えることはできませんし、改善もできません。応用も効かせづらいです。

だから、できない人の動きを良く見て、自分ができている理由を発見することはとても大事です。

それをしないと、技がかかる「真の」理由は決して解明できません。

それによって、今まで意識できていなかった技のポイントが分ると、人に説明する事もできますし、自分の技をより効率的に改善することもできます。

「できないやつが悪い」とか「なんで分からないんだ」とか言うのは構いませんが、そこには何の進歩もありません。

そのような議論をするためのたたき台にする、というのも、本書を上梓した理由のひとつでした。

日本人は、単一民族で、言葉にしなくてもなあなあでやっていけますが、外国の多くの人はそうではありません。

ちょっとしたことも言葉で説明することが求められます。

そのような違いもあって、外国の選手は、技術を言語化し、メンバーで共有しています。

それを土台として積み重ねるとともに、若い選手のブレイクスルーも否定せずに取り入れることで、現在、柔術競技では世界と日本との技術の差は開いていく一方になっています。

世界一を目指しつつそれを果たせなかった人間として、日本の柔術界が、世界に追いつき、追い越すことを祈っています。

本書がそのための一助になれば、これに勝る喜びはありません。

4〜5年後に、本書を読んだ方が「何だ、この本。当たり前のこととか古臭いことばっかり書いてあるな。間違いも多いし。どうしようもない本だ」というような柔術界になっていることを祈っています。


追記1
寝技の学校は、とりあえず「引き込み編」と「抑え込み編」の2冊で、当初の作成予定は終了しました。

大賀個人的には、流れ的に「極め技編(仮題)」も作成したいですし、他にも構想を練ってはいます。

機会があれば、続編作成のお知らせができると良いなと思っています。

また、「こういう内容の本が欲しい」という要望がありましたら、大賀 oga390@gmail.com までメールでお寄せ下さい。


追記2
本書は、日本柔術界のレベルを上げて、日本人の柔術黒帯世界王者を誕生させようという大賀の夢を実現するためのものですが、もうひとつ、企画として「ブラジリアン柔術 ガロ級賞金トーナメント」も実現させたいと思っています。

★詳細はコチラから!

ブラジリアン柔術大会の最高峰、ムンジアルの黒帯トーナメントで、日本人男子が優勝に一番近いはガロ級です。

日本人によるムンジアル黒帯王者を誕生させるには、この階級の選手が切磋琢磨をする場を作ることと、優秀選手に援助を行うことが最も効果的と考えて、賞金トーナメントを行い、優勝者に100万円を授与する、というものです。

賞金は、皆さんからの寄付でまかなわせていただきます。

もし、この本を手に取った方々に、1000円づつでもご寄付いただければ、この大会を数年にわたり開催することができます。

少しのご協力でもかまいませんので、どうか一人でも多くの方々に賛同いただけることを願っています。

大賀も、本書の作成に時間をとられて、この企画は告知しただけでほとんどPR活動ができていませんでしたが、これからは、この企画の実現に本腰を入れていこうと考えています。

なにとぞ、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。




<著者プロフィール>
大賀幹夫(オオガ・ミキオ)
1971年1月17日生まれ。福岡県太宰府市出身。
身長175cm。体重60kg。ねわざワールド代表。大賀道場代表
九州大学で柔道をはじめ、高専柔道の流れを汲む七大学柔道を学ぶ。
1999年に「ねわざワールド」を設立。2003年には、東京都調布市に大賀道場を設立し、同年末に黒帯昇格。
2007年には、マスター&シニア・インターナショナルシニア1黒帯プルーマ級で優勝し(本誌発行時現在、日本唯一の黒帯世界王者)、
同年、世界柔術選手権ムンジアルにおいても黒帯ガロ級3位入賞を果たす。
その後2010年に、39歳で引退。現在は、技術指導はもとより、ブラジリアン柔術や七大学柔道を普及・発展させるための活動を精力的に行っている。
ねわざワールドは全国に20支部を展開中。



【好評発売中】
『頭とカラダで考える・大賀幹夫の寝技の学校・引き込み編』
著者:大賀幹夫
A4判:104P(カラー32P/1C72P) 
DVD:120分
定価:2,520円(本体2,400円) 
出版社:株式会社晋遊舎
■購入はコチラから!



©Bull Terrier Fight Gear


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