2024年05月
2024年05月01日
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【インタビュー】江良拓「黒帯だけどまだベーシックな部分しか理解しているとは言い難い」【ブラジリアン柔術】
4月上旬に都内の東京武道館で開催されたヘンリー・エイキンスのトレーニングキャンプにてヘンリーから黒帯を授与された江良拓。
江良はハワイで柔術を始め、その後はカリフォルニアに渡り、ギィ・メンデス&ハファ・メンデスのメンデス兄弟のAOJにて柔術を学んでいた。
その後、メンデス兄弟から茶帯を授与されたが、雑誌のインタビューでヘンリーと知り合い、そこでスパーリングをした際に衝撃を受け、ヘンリーの門下生となった。
そしてヘンリーの門下生としてイチから柔術を学び直し、今回の黒帯昇格となった。
そんな江良にインタビューをお願いした。
「黒帯だけどまだベーシックな部分しか理解しているとは言い難い」
──黒帯昇格インタビュー、江良拓くんです。ヘンリー・エイキンスの黒帯おめでとうございます。ヘンリー・エイキンスの黒帯、いつもらいましたか?
江良:2024年の4月のキャンプの初日にもらいました。
──これはもう前から何か言われたんですか?
江良:いや、全く何もなく急に。
──急にもらったサプライズ。普通にそれを最後の日にもらったりするのかと思いきや、初日にもらう。どうでしたか?もらった気持ちは。
江良:やっぱり競技柔術と違って、何か大会で優勝したらとかっていう基準が全く見えなかったんですよ。結構ヒクソン先生とロールした人がいる感じで、自分もやっぱりヘンリー先生とロールすると、毎回毎回何もできなくて白帯になっている気分なんで、これは多分一生もらえないかなと思って。
──そんな感じなんですね。ヘンリーの門下生になってから何年経ちましたか?
江良:一応2015年にあって、それからちょっとずつ教えてもらっているので、なんだかんだで9年くらい。
──足掛け10年目ってことですよね。ということで10年目にしてやっと黒帯。茶帯でヘンリーに入って、そこから足掛け10年間、ヘンリー柔術を1から学び直して黒帯になったみたいな感じですかね?
江良:まさしくそうですね。
──普通の柔術だったら白帯で入って10年経ったら黒帯になれますもんね。メンデス(ハファ・メンデス&ギィ・メンデス)から茶帯にもらったのはいつでしたか?
江良:2015年です。
──では茶帯をもらったタイミングで宗旨変えをしたと。
江良:そうですね。当時、雑誌の「Jiu Jitsu NERD」のインタビューで、偶然ですけど当時のサンタモニカにあるダイナミクスMMAに行きまして。インタビューをするってきっかけで最初は軽い気持ちでインタビューに行ったんですけど、そこでヘンリー先生とロールするというチャンスをいただいて、そこでまさか何もできずに終わって、そこからやっぱりちょっとずつ変わってきましたね。
──それまではAOJでの拓は結構、AOJのインストラクターじゃないただの1会員だけど、結構ハイランクの生徒でしたよね。
江良:一応その時は選手としてやってて、ルースターには体重を落としたりして頑張ってたんですけど、パンとか一応ムンジアルとかも出て結果も残してたんですけど、メダルとか取った直後にヘンリーとやって何もできなかった衝撃がさらに大きかったんで。
──拓は競技柔術では一応紫帯でパンナムチャンピオンですね。けど、そこでトップコンテンダーの1人としてヘンリーにチャレンジしたら何もできず、で衝撃を受けて、これ何だということでメンデスに背を向けてヘンリーに入門ですよね。そこからこの9年間はどんなことをやってきましたか?
江良:本当に最初に衝撃的だったのがプレッシャーだったのと、まずはわかりやすい位置としてサイドコントロールからプレッシャーをちょっとずつヘンリーに聞きながらやって、それと同時に基本的にブリッジ、エビ、足回しを本当にすごい注意されたので、それをとにかくやってましたね。
──延々とそればっかりを。そこでヘンリーと遠隔で学んでたわけじゃないですか。オンラインとか。そんなに直接会う機会もなくなって、この9年間、足掛け10年かかっての黒帯昇格ですね。
江良:一応2015年以降は毎年1回は直接お会いして、そこでギュッとロールでほぼ連続1時間くらい。
──年に1回、1年間自分で学んだものを年に1回会って試して、そこで修正してっていうのを続けていったという感じですよね。そこでヘンリーの柔術、何が一番違いますか。
江良:そもそも考え方が違うというか、少しこの間のキャンプでもおっしゃってたんですけども、ポイントとかを全く気にせず、言い方はあれですけども、セルフディフェンスということでそっちを想定してるっていう。それでやっぱり動きではセルフディフェンスに使える動きかどうかっていうことがまず一つ基準になっているかなと。やっぱり繰り返しになっちゃうんですけども、エビとかブリッジとか、もっと言うならば立ち技すごい気にしますね。
──組み付け方とかね、そこら辺の相手との要はディスタンスの測り方だったり、そこら辺も結構細かく指導されてましたね。そのエビとか足回しって結構どこの道場でもやると思うんですよ。ヘンリー式と普通のやつ、どう違うんですか。
江良:例えばガードで言うならば、ヘンリーは基本的にスパイダーとかラッソーとか、基本的にギを握るグリップを全くしないので、ボトムになって、もし相手が立っているのであれば基本的に足回し、足しか使わないという。その理由はやっぱり距離が相手と顔が近いと単純に殴られてしまったりとか、それが危ないということで、そういうのを一応ベースにしています。
──もう本当に打撃ありきのそういう根技、組み技を想定していると。エビのやり方もそんな違うんですか?
江良:やっぱりもう本当に全てが違うという感じですね。基本的になんでエビがすごいかって思うと、ヘンリーとロールのときに、普通だったら大体上の人がトップから始めて、下の人がガードから始めるというのが基本だと思うんですけど、ヘンリーは基本的にどのポジションからでもやらせてくれて、そこからスタートするんですけど何もできずにエスケープされちゃうんですね。必ずヘンリーが言うのは、やっぱりディフェンスが完璧にできないと、それが大事なのでっていう。なのでそのエビがやっぱりそこがすごい要素が詰まっているのかなと思いました。
──前にクロン・グレイシーにインタビューしたときに、まだクロンがムンジアルに出てるときでしたね。そのときに話聞いたんですよ。ベリンボロとかどう思うか?と。そしたら「興味ない」と。ただ、自分はやることないけども、やられたときに何をしたらいいのかっていうのをそこは注意してるということは言ってましたね、クロン。やっぱりディフェンスですよね。
江良:何かやられたときの対応策をまずは気にするというところですよね。
──そこら辺がヒクソン、クロン、ヘンリーみたいな、ここら辺のヒクソンファミリーと密接な関係があります。そのクロンの現役時代をずっと指導してたのがヘンリー・エイキンスだということを言われてますね。
江良:そういうことですよね。
──ヒクソンがいつもどっか行っちゃってセミナーとかにいないときにずっと道場で指導してたのがヘンリー・エイキンスですね。そしてそのヒクソン・グレイシーの柔術を最も忠実に再現できるのがヘンリーだと言われてるということですよね。その中で日本に拓が知られざる術、ヒドゥン術を持ってきたと。ヒクソン・グレイシーがインビジブル柔術、そしてヘンリーがヒドゥン柔術。この違いはどんなものがありますか。
江良:これは少しヘンリー先生もおっしゃったんですけど、基本的にヒクソン先生の動きって相当、外から見てたら何もしてないように見える。ただヒクソン先生はやっぱり少し微細な動きをすごく対応しているので、ということでインビジブル。でもヒクソン先生はどっちかというと指導よりも自分の技術を高めることに集中しているそうなので、ヘンリーはそれを可視化するという意味でヒドゥン術という、そういった違いを一応見せているそうです。
──ヒクソンのクラスだったりセミナーだったりとほとんど機会ないわけじゃないですか。こうやってヒクソンの術を受け継いで自分なりにアップデートしていったヒドゥン柔術、これをまだヘンリーはセミナーやったりキャンプやったりいろいろやってくれています。そしてそのヘンリーから黒帯を授かった江良拓がまた日本でヒドゥン柔術を広めて活動していくということですね。
江良:そうですね、ちょくちょくですけれども僕はまだベーシックな部分しか理解しているとは言い難いですね。
──10年やってもまだベーシック。
江良:はい。そこまでのヘンリー先生のようなバンバンバンバン技は決められるというのは全然程遠いと思っているので、やっぱり僕の目標は競技系に対して対抗するというよりかはどっちかというとやっぱりベリンボロだったりとか、自分がやっていたときはそうだったんですけれども、やっぱり40歳、50歳を超えてベリンボロはさすがにちょっときついというか。なのでそういう動きじゃなくて基礎的な動きでさらに時間をかけてできる、長く楽しめるような柔術を今は目標としています。
──この間もJBJJF全日本マスターがありました。やっぱり30代以上の人たちがやられている柔術なんで、やっぱりそういった高齢の方たちの試合だとやっぱりベリンボロとかは出てこないですね。そうなってくるとクローズドガードだったりハーフガードだったり、要はベーシックな柔術を軸に試合を組み立てる方が多かったので、やっぱりそういうところにこのヒドゥン柔術はかなり相性がいいんじゃないかなと思っております。
江良:やっぱり若いうちはどんどん運動量とか、それこそインストラクターとかを目指す方というのはやっぱり競技系で結果を出す必要があると思うので、そういった方は競技系をどんどんやってもらって、やっぱりその後、もしくは年齢を経てから始められる方というのはさすがに成績を残すことが果たして目的かというのはちょっと僕は分からないですけれども、そういった方、それを目標にしていない方向けにやっていきたいですね。
──もう拓も全く試合を考えていないと。
江良:そうですね、全くはい。
──その中で、そういう柔術をやっていく上でのモチベーションというのはどういうところがあるんですか?
江良:とにかく僕の経験としてはAOJとかでやってた技術ではなくて、やっぱりヘンリー先生の技にどれだけ近づけるかというのが今の目標ですね。
──そこに到達するには10をMAXとしたら今どのくらいのところに行ってますか?
江良:せいぜい1以下ですね。
──まだ1以下? 10年やって1?じゃあ2になるの10年後ですか?
江良:はい、それくらいで考えています。
──そんなにまだまだ時間がかかっちゃうもんなんですか?
江良:僕はやっぱりAOJ時代の癖っていうのが無意識レベルでまだあると思うので、それをまず取り除きながらまだまだやっていく必要があるし、やっぱりそのためにもっとクロスカラーチョークだったりとかっていう、そのサブミッションをまだ理解するに至ってないので、そこにすごく時間がかかるかなと。
──過去にヘンリーがBJJファナティックスから教則動画を出してました。袈裟固めですよ。柔術だったら袈裟固めは本当にダメなポジションだと言われてるところをヘンリーがあえてなのか出しました。あれどう思いましたか?
江良:サイドコントロールですね。クロスサイドコントロールなんですけども、やっぱりあれこそがヘンリー先生のやっぱり伝えたいことの一つなのかなと。
──スカーフホールドなんていってましたね。
江良:スカーフホールドはやっぱり相手の首を押さえてるんで、よりちょっと力づくに見えるんですけども、実際にやっぱりヘンリー先生とロールすると、サブミッションがまず目的じゃなくて、その前の段階がすごい大事なんだっていうのが体で分かるんで。なので僕はもうポジショニングだけでタップしてしまうんですけど。もうあの入り口から違うんですよ。
──柔術だったら袈裟固め、まず一番最初にそれをやるなって言われてるところを、ヘンリーはあえてそこの教則を出した。何か狙いがあったのかちょっと分かりませんが、ちょっとそこら辺からも入り口からしたら違うなとちょっと思いました。
江良:ちょっとびっくりしましたけどね。
──あの教則はBJJファナティックさんから出てますから、それもちょっと見てもらえるといいと思います。拓はあれ見ましたか?
江良:基本的に教則動画は何個か持ってますんで見てますね。
──やっぱりそのスカーフォールド、いいポジションだと。
江良:そうですね、すごい分かりやすい。一つヘンリー先生の技術を理解すれば分かりやすいポジションかなと。
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──ヘンリー・エイキンスといったらデッドホエールコントロール。あの死んだクジラが乗ってるようなサイドポジションというか、あれがまだ代名詞になってます。あれどうですか?
江良:この間もちょっと受けたんですけど、やっぱりあれをやれた時点で何も思い浮かばなくて、とにかく逃げることが精一杯です。
──でも拓は現役当時はルースターで、今もフェザーいかないくらいの体重だと思います。それでもデッドホエールサイドコントロール使えますか?
江良:いや、まだまだ鍛錬しないとダメです。
──けど、そういう技術をまだまだ高めていくということですね。じゃあこれからのヘンリーエイキンスの柔術、どういう風にして啓蒙活動していくんでしょうか?
江良:そうですね、できる限り日本の方にも僕ができるというのは基本的なことというか、少し年を重ねた方とかそういった方向けなので、黒帯のトップの方っていうのはぜひともヘンリー先生のセミナーとか、直接体感してもらう機会を作りたいので、僕もできるだけ限り先生を呼びして、日本でのセミナーを継続的にやっていきたいと思います。
──そしてもうヘンリー・エイキンスから黒帯を授与されて、要は免許改伝みたいなところになっているこの江良拓。これからもいろんな活動をしていくということなのでチェックしていきたいと思っております。江良拓さん、これからも頑張ってください。
江良:ありがとうございました。
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