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2007年12月22日

高谷コラム「古典紹介 其の壱

813b27a0.jpg近年、ブラジリアン柔術に関する技術解説書やDVDの類が数多く出版され、あたかも個々のオリジナリティなどが競われているかの状況、相乗的に全体のクオリティはアップしているように感じる。

さて、今月はパラエストラ東京(当時はパレストラ東京)が開設しちょうど10年、同時に筆者の柔術暦も10年になる。

10年前、ブラジリアン柔術の技術解説書など日本の市場には皆無であった。(あったとしてもヴァーリトゥードテクニックとしてのそれであった。)競技者・愛好者の多くは柔道の解説書を買い求め、参考としたものである。

それらの書籍の中で最も著名であり、また現在も発売されている秀作といえば岡野功による「バイタル柔道(寝技編)」であろう。

が、今回は10年前においてすでに絶版となっていた一冊を紹介したい。

著者が20数年前、柔道を始めた際に購入した技術解説書であり、柔術を始めるにあたり再び紐解いて大いに参考とした書である。

「柔道教室」、著者は木村政彦。

ソデの部分の推薦文は、先日の大連立騒動でも健在ぶりを誇示した政界のフィクサー・中曽根康弘元首相。

当時の肩書きは衆議院議員。

木村政彦。

最近「GONKAKU」誌でも力道山とのプロレス試合について取り上げられ、またブラジリアン柔術のヒストリーにおいてはエリオ・グレイシーとの一戦が語り継がれているが、やはり最たる偉業は全日本選士権3連覇や昭和天覧試合制覇であり、本来は柔道史の中でこそさん然と輝くべき存在である。

この書に解説されている技術もまた(おそらくはブラジル遠征時に柔術の影響を受けたというようなものではなく)純然たる柔道の技術であると言えよう。

けれども、これらの技術は確実にブラジリアン柔術のテクニックとしてもそのまま通用する。今回久々にこの書を開いてみたが、柔道とブラジリアン柔術は技術体系的にも軌を一にするものであると、改めて認識した。

技術は道場にて学ぶものであり、書籍あるいは映像からの学習はあくまで補助的なものである。が、そういった探求が実力を向上させることもまた事実である。

これからも次々出版されるだろう技術解説書(あるいはDVD)はもちろん、このような古典的なものにも(最近はネットによる古書入手の手段もあるようなので)、貪欲に目を通してほしいものである。(文中敬称略)


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