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2009年07月12日

古典紹介:木村政彦「柔道とレスリング」前篇

おなじみ木村政彦氏の著作を紹介する。

筆者が少し前にネットにて発見し入手した一冊。

「柔道とレスリング」昭和30年7月、鷺ノ宮書房なる出版社より刊行。

氏の一連の著作の中では初期のもの、もしくは処女作なのかも知れない「奇書」である。

著者は「国際プロ・レスリング団 木村政彦」とある…。

まずこの刊行時期が木村氏にとっていかなる時代であったか。

約半年前の昭和29年12月、かの有名な力道山との一戦があった。

そしてその余韻さめやらぬ30年3月、長期のメキシコ〜フランス〜スペインとプロレス行脚に出発しているのである。帰国は33年。

(ちなみにブラジルでのエリオ・グレイシー選手との試合は26年。この時期すでにプロレスの試合に出場していた氏は、日本で本格的にプロレスが始まる以前からプロレスラー活動をしていたのである。)

とすると力道山に敗れた?前後に企画・執筆されたものである可能性が高い。

さて内容を紐解いてみると、「柔道篇」「レスリング篇」の二つに大別されている。

「柔道篇」はまず古流柔術から始まる(古流)柔術→(講道館)柔道の沿革を紹介している。(この壮大なテーマについては、いずれ当連載でも扱ってみたいと思っている。)

この歴史記述部分だけを読むとただ定説が述べられているだけで、とても本人が力をこめて記したものではないように感じるが、末尾には「最後に云う、柔道は技の完成のみが目的ではなく、《人間》そのものの完成にあると。」という言葉で締めくくっている。

この先は柔道衣の着方から講道館の形、そして投技から固技といった実践篇へと進んでいく。

そして最終章には「試合について」と称し、例えば試合前日はレコードなどを聞きリラックスして過ごすこと、など試合に臨むについての心得が示されている。多くの方が一読したであろう、後年の「わが柔道」を想起させる内容である。

ここで筆者は、この書が多くは代筆者の協力によるものなれど、木村政彦氏の柔道理念が随所に見え隠れし、さらには当時の混沌とした心境を垣間見ることが出来る「奇書」である事に気付いたのである…。




昭和30年刊行
木村政彦著「柔道とレスリング」




技術解説は礼法から。
朴訥とした画風が時代を感じさせる。




寝技の技術解説ページ。
当世風に言うと「パスガード」であろう。





高谷聡(こうたに・さとし)
パラエストラ吉祥寺・代表。
ブラジリアン柔術・黒帯、柔道四段。
BJJFJ公認B級審判員。
現CSF(コンバット・サブミッション・ファイティング)王者。
CSF王座は2007年6/1、ニュージーランド、オークランド、トラスト・スタジアムにて前王者、ニール・スウェイルスと戦い、これを延長戦の末にポイント判定で降し王座獲得。

王座獲得の後、2年ぶりに王座防衛戦を行い、激戦の末に王座防衛を果たす。(2009年5月)
★CSF王座防衛戦の様子はコチラから!

★CSF王座獲得のの詳細は2007年06月01日のこのブログのニュージーランド編を参照のこと。
☆ニュージーランド編はコチラ、画像はコチラ


★著者経歴
・昭和45年2月11日生まれ、38才(独身)
・昭和57年、12才で武道を始める。
・昭和59年、合気道初段。
・昭和61年、16才で柔道に転じ以降、高校・大学・実業団にて選手として出場。
・現在は母校の柔道部監督を務める。
・平成7年、柔道4段取得。
・実業団所属時代、鈴木道場サンボクラスに入門、初段を取得。
・平成9年、鈴木道場サンボクラスに出稽古の中井祐樹先生と知り合う。
・同年末に開設されたパラエストラ東京(当時パレストラ東京)に入門、ブラジリアン柔術を始める。
・平成13年、パラエストラ吉祥寺を設立。
・平成17年、ブラジリアン柔術の黒帯を取得。
・好きな女優は池脇千鶴、おニャン子クラブでは白石麻子が好きだった。




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