2009年07月27日
高谷コラム:古典紹介 木村政彦「柔道とレスリング」 中篇
昭和30年発行の一冊。
この書の内容が「柔道篇」「レスリング篇」に分かれていること、そしてその中で「柔道篇」の大筋までを前回は述べてきた。
まずは「柔道篇」について、もう少しみていきたい。
投技・固技とも個々の技術の解説の前に、総論ともいうべき項がある。
投技の場合は、講道館において常に強調されている「作り・崩し・掛け」といった、比較的一般的な理論に終始しているのに対し、固技に関しては抑込・関節・締めの3技法についての基礎理論からその際の心身の扱い方(例:「上になって攻める場合は、自分の体の畳に接する部分を多くし、下になって防ぐ場合は、自分の体の畳に接する部分を少なくして、体に円みをつけることである。」ブラジリアン柔術競技者にとっても大いにうなづけるところの1文であろう)まで、力の入った一節となっている。
また「柔道問答」と称し質疑応答の形式を採っている節があるのだが、その中に道場以外の場所での勝負についての記述がある。
・夜間歩き
・屋内
・日中光線の強いとき
・風が吹いているとき
・相手が多勢の場合
・走るものを追う
などといったシチュエーションについて解説しているのだ。
この「柔道篇」、明らかに「講道館柔道」の技術解説書としてはその範疇を逸脱している。
自身の身体的衰えや、「講道館柔道」と所謂「実戦」との乖離などを自覚したことにより、現役時代とはまた違った柔道哲学を持っていたことがうかがい知れる内容である。
寝技への傾倒もそのひとつの現れであろう。
もちろん力道山やエリオ・グレイシーとの一戦、またその他諸外国での経験に基づいていることは間違いないはずだ。
まさしく「奇書」であるこの「柔道とレスリング」、次回は「レスリング篇」についてふれてみたい。
ブラジリアン柔術でもお馴染み、両足かつぎの解説。
木村氏とは柔道史上別派閥といわれる三船久蔵十段の得意技として「空気投げ」が紹介されているが、なぜか寝技篇に…。
高谷聡(こうたに・さとし)
パラエストラ吉祥寺・代表。
ブラジリアン柔術・黒帯、柔道四段。
BJJFJ公認B級審判員。
現CSF(コンバット・サブミッション・ファイティング)王者。
CSF王座は2007年6/1、ニュージーランド、オークランド、トラスト・スタジアムにて前王者、ニール・スウェイルスと戦い、これを延長戦の末にポイント判定で降し王座獲得。
王座獲得の後、2年ぶりに王座防衛戦を行い、激戦の末に王座防衛を果たす。(2009年5月)
★CSF王座防衛戦の様子はコチラから!
★CSF王座獲得のの詳細は2007年06月01日のこのブログのニュージーランド編を参照のこと。
☆ニュージーランド編はコチラ、画像はコチラ!
★著者経歴
・昭和45年2月11日生まれ、38才(独身)
・昭和57年、12才で武道を始める。
・昭和59年、合気道初段。
・昭和61年、16才で柔道に転じ以降、高校・大学・実業団にて選手として出場。
・現在は母校の柔道部監督を務める。
・平成7年、柔道4段取得。
・実業団所属時代、鈴木道場サンボクラスに入門、初段を取得。
・平成9年、鈴木道場サンボクラスに出稽古の中井祐樹先生と知り合う。
・同年末に開設されたパラエストラ東京(当時パレストラ東京)に入門、ブラジリアン柔術を始める。
・平成13年、パラエストラ吉祥寺を設立。
・平成17年、ブラジリアン柔術の黒帯を取得。
・好きな女優は池脇千鶴、おニャン子クラブでは白石麻子が好きだった。
この書の内容が「柔道篇」「レスリング篇」に分かれていること、そしてその中で「柔道篇」の大筋までを前回は述べてきた。
まずは「柔道篇」について、もう少しみていきたい。
投技・固技とも個々の技術の解説の前に、総論ともいうべき項がある。
投技の場合は、講道館において常に強調されている「作り・崩し・掛け」といった、比較的一般的な理論に終始しているのに対し、固技に関しては抑込・関節・締めの3技法についての基礎理論からその際の心身の扱い方(例:「上になって攻める場合は、自分の体の畳に接する部分を多くし、下になって防ぐ場合は、自分の体の畳に接する部分を少なくして、体に円みをつけることである。」ブラジリアン柔術競技者にとっても大いにうなづけるところの1文であろう)まで、力の入った一節となっている。
また「柔道問答」と称し質疑応答の形式を採っている節があるのだが、その中に道場以外の場所での勝負についての記述がある。
・夜間歩き
・屋内
・日中光線の強いとき
・風が吹いているとき
・相手が多勢の場合
・走るものを追う
などといったシチュエーションについて解説しているのだ。
この「柔道篇」、明らかに「講道館柔道」の技術解説書としてはその範疇を逸脱している。
自身の身体的衰えや、「講道館柔道」と所謂「実戦」との乖離などを自覚したことにより、現役時代とはまた違った柔道哲学を持っていたことがうかがい知れる内容である。
寝技への傾倒もそのひとつの現れであろう。
もちろん力道山やエリオ・グレイシーとの一戦、またその他諸外国での経験に基づいていることは間違いないはずだ。
まさしく「奇書」であるこの「柔道とレスリング」、次回は「レスリング篇」についてふれてみたい。
ブラジリアン柔術でもお馴染み、両足かつぎの解説。
木村氏とは柔道史上別派閥といわれる三船久蔵十段の得意技として「空気投げ」が紹介されているが、なぜか寝技篇に…。
高谷聡(こうたに・さとし)
パラエストラ吉祥寺・代表。
ブラジリアン柔術・黒帯、柔道四段。
BJJFJ公認B級審判員。
現CSF(コンバット・サブミッション・ファイティング)王者。
CSF王座は2007年6/1、ニュージーランド、オークランド、トラスト・スタジアムにて前王者、ニール・スウェイルスと戦い、これを延長戦の末にポイント判定で降し王座獲得。
王座獲得の後、2年ぶりに王座防衛戦を行い、激戦の末に王座防衛を果たす。(2009年5月)
★CSF王座防衛戦の様子はコチラから!
★CSF王座獲得のの詳細は2007年06月01日のこのブログのニュージーランド編を参照のこと。
☆ニュージーランド編はコチラ、画像はコチラ!
★著者経歴
・昭和45年2月11日生まれ、38才(独身)
・昭和57年、12才で武道を始める。
・昭和59年、合気道初段。
・昭和61年、16才で柔道に転じ以降、高校・大学・実業団にて選手として出場。
・現在は母校の柔道部監督を務める。
・平成7年、柔道4段取得。
・実業団所属時代、鈴木道場サンボクラスに入門、初段を取得。
・平成9年、鈴木道場サンボクラスに出稽古の中井祐樹先生と知り合う。
・同年末に開設されたパラエストラ東京(当時パレストラ東京)に入門、ブラジリアン柔術を始める。
・平成13年、パラエストラ吉祥寺を設立。
・平成17年、ブラジリアン柔術の黒帯を取得。
・好きな女優は池脇千鶴、おニャン子クラブでは白石麻子が好きだった。