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2010年11月10日

高谷コラム:「柔術」を考える

4月以降、実に半年以上ぶりとなる当ブログの人気シリーズ、高谷コラム、久々の更新です。

すっかり忘れ去られていましたが、地味に継続!

なにげにファンが多いこのコラム、今回のテーマはやや重い「柔術を考える」です。

いまや柔術はブラジリアン柔術として定着していますが、そのルーツはいわずもがな、日本の柔道、ひいては古流柔術にあります。

そのルーツを再考し、意味を自問自答する高谷氏。

全柔術家、必見のコラムです!



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現在、多くのブラジリアン柔術競技者が自らを「柔術家」と表現する。

もちろん間違いではないが、「柔術」という言葉が網羅する広大な範囲を考えたとき、筆者個人としてはやや躊躇する。

例えば、世界的に膨大な競技人口を誇る柔道。

これも「日本伝講道館柔道」という柔術の1流派であり、いわば柔道選手も「柔術家」であるといえるだろう。

そんな思考から、筆者は今後折りに触れて「柔術」のルーツや変遷について研究・ご紹介していきたいと思う。

これはまた間違いなくブラジリアン柔術(「グレイシー柔術」としたほうが論理的にしっくりする場合もあるだろうが)の源流であるものだから。

さて「柔術」、これはまぎれもなく日本人によって史上に現出されたものに他ならない。

(とある中国人拳法家を起源とする説もあるが、年代的な理由から否定されている。)

その最古の流派が「竹内(たけのうち)流」。

1532年、作州(岡山)の竹内久盛によって創始されたという。

現在も岡山県にて伝承されている同流儀、明治期には大日本武徳会柔術形(≒講道館柔道形)の制定にも大いに影響を与え、また大正期には支流からかの牛島辰熊を排出している。

この竹内流でも後の講道館段位制のルーツとも言うべき「目録」「免許」「印可」といった修行階梯が設定され、所定の形をマスターすることにより昇格となる。

ここで筆者は、先日鑑賞の機会を得たヒーロン&ヘナー・グレイシーによるDVD「Gracie Combatives」の青帯取得プログラムを連想する。

そこでは、グレイシー柔術アカデミーでの青帯取得に必要な技術群が整然と定められていた。

まさに古今東西変わらぬ「柔術」の姿がそこにある。

現在、ブラジリアン柔術の昇帯に関しては多くの場合がその競技力を判断してのものであろう。

(そこに「師匠の判断」という決め手があることは武術の本質を鑑みて偉大なる制度であるが。)

もちろんそれはスポーツ競技としての側面も大きいだけに間違っているとは思えないが、ブラジリアン「柔術」としてある程度の明文化された修行階梯があってもよいのではないだろうか。

筆者自身、「柔術家」としてそう考えている。(敬称略)



最初の「柔術」流儀である竹内流。
日本武道館刊「日本の古武道」より。




DVD「Gracie Combatives」。
全13巻の大作である。




高谷聡(こうたに・さとし)
パラエストラ吉祥寺・代表。
ブラジリアン柔術・黒帯、柔道四段。
BJJFJ公認B級審判員。

現CSF(コンバット・サブミッション・ファイティング)王者。
CSF王座は2007年6/1、ニュージーランド、オークランド、トラスト・スタジアムにて前王者、ニール・スウェイルスと戦い、これを延長戦の末にポイント判定で降し王座獲得。
王座獲得の後、2年ぶりに王座防衛戦を行い、激戦の末に王座防衛を果たす。(2009年5月)
★CSF王座防衛戦の様子はコチラから!
★CSF王座獲得のの詳細は2007年06月01日のこのブログのニュージーランド編を参照のこと。
☆ニュージーランド編はコチラ、画像はコチラ

★著者経歴
・昭和45年2月11日生まれ、40才(独身)
・昭和57年、12才で武道を始める。
・昭和59年、合気道初段。
・昭和61年、16才で柔道に転じ以降、高校・大学・実業団にて選手として出場。
・現在は母校の柔道部監督を務める。
・平成7年、柔道4段取得。
・実業団所属時代、鈴木道場サンボクラスに入門、初段を取得。
・平成9年、鈴木道場サンボクラスに出稽古の中井祐樹先生と知り合う。
・同年末に開設されたパラエストラ東京(当時パレストラ東京)に入門、ブラジリアン柔術を始める。
・平成13年、パラエストラ吉祥寺を設立。
・平成17年、ブラジリアン柔術の黒帯を取得。
・好きな女優は池脇千鶴、おニャン子クラブでは白石麻子が好きだった。

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©Bull Terrier Fight Gear
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