2013年03月02日
高谷コラム:「山嵐≠韓国背負い」
先日、道場にて所謂「韓国背負い」の研究を行った。
主に喧嘩四つ組み手の際に、相手の手前の襟を両手で取り、270度ほど回転して背負う技であり、時には腕が極まったようになり真後ろに倒れることもある、近年の柔道試合にて多用されている技術。
また、襟を取る手の片方は逆手で取ることもあるという。
その風景は筆者に、小説「姿三四郎」で知られる「山嵐」を想起させた。
「山嵐」は「姿三四郎」のモデルと言われる講道館草創期の四天王のひとり・西郷四郎が実際に得意とした技である。
が、その実態は必ずしも明らかでなく、いくつかの説がある。
講道館に残されている形は、釣り手で片襟を逆手でとり、払い腰のように払い上げて投げるもの。(写真2を参照)
主な異説としては、会津生まれの西郷が講道館柔道以前に学んだとも言われる「大東流」(合気道の原点であるが、とかく謎が多い流派)の技法を応用したというものがあり、それは大外刈りと合気道でいうところの「四方投げ」(腕を極めて相手をその後方に倒すもの)とをミックスさせたような形である。(写真3・4を参照)
「韓国背負い」には、これら二説との技法的な共通項があるように思えてならない。
まして西郷は、当時としては珍しかった左組みであったとされており、つまりほとんどの場合「喧嘩四つ」で闘っていたのだから・・
この「山嵐≠韓国背負い」説は、単に筆者による奇説にすぎないし、妄想ともいえるかも知れない。
だが、ここで思う。
技術は「伝承」されるものであることはもちろんだが、まずは「開発」されるもの。
同じように組み合って闘う武術においては基本的に同じ構造の人間、古今東西を問わず類似する技法が現出して然るべきであろう。
たとえば、高専柔道の技法を今に残した書籍や映像を観ると、グレイシー柔術以降の競技ブラジリアン柔術において使われ始めたテクニックに酷似するものが多いことに驚かされる。
創意工夫し「開発」することが何よりも重要なのだ。
日本の小野選手による「韓国背負い」がきまった瞬間。
90年代「空手道」誌において「姿三四郎」が扱われた際に掲載された、
講道館指導員による「山嵐」の実演。
演武しているのは筆者の恩師でもある坂下誠五段(当時)。
同じく「空手道」誌に掲載された、大東流応用説に基づいた「山嵐」。
演武しているのは、なんと中井祐樹先生!
会津にある西郷四郎の銅像。
「山嵐」の形は大東流応用説を採用。
壮年の西郷四郎と、義父である元会津藩家老・西郷頼母。
西郷頼母は、話題の大河ドラマ「八重の桜」において
西田敏行氏が演じているところである。
高谷聡(こうたに・さとし)
パラエストラ吉祥寺・代表。
ブラジリアン柔術・黒帯、柔道四段。
JBJJF公認A級審判員。
現CSF(コンバット・サブミッション・ファイティング)王者。
CSF王座は2007年6/1、ニュージーランド、オークランド、トラスト・スタジアムにて前王者、ニール・スウェイルスと戦い、これを延長戦の末にポイント判定で降し王座獲得。
王座獲得の後、2年ぶりに王座防衛戦を行い、激戦の末に王座防衛を果たす。(2009年5月)
★CSF王座防衛戦の様子はコチラから!
★CSF王座獲得のの詳細は2007年06月01日のこのブログのニュージーランド編を参照のこと。
☆ニュージーランド編はコチラ、画像はコチラ!
★著者経歴
・昭和45年2月11日生まれ、43才(独身)
・昭和57年、12才で武道を始める。
・昭和59年、合気道初段。
・昭和61年、16才で柔道に転じ以降、高校・大学・実業団にて選手として出場。
・現在は母校の柔道部監督を務める。
・平成7年、柔道4段取得。
・実業団所属時代、鈴木道場サンボクラスに入門、初段を取得。
・平成9年、鈴木道場サンボクラスに出稽古の中井祐樹先生と知り合う。
・同年末に開設されたパラエストラ東京(当時パレストラ東京)に入門、ブラジリアン柔術を始める。
・平成13年、パラエストラ吉祥寺を設立。
・平成17年、ブラジリアン柔術の黒帯を取得。
・好きな女優は池脇千鶴、おニャン子クラブでは白石麻子が好きだった。
★高谷さんの人気コラムシリーズはコチラから、ブログはコチラから!
©Bull Terrier Fight Gear
主に喧嘩四つ組み手の際に、相手の手前の襟を両手で取り、270度ほど回転して背負う技であり、時には腕が極まったようになり真後ろに倒れることもある、近年の柔道試合にて多用されている技術。
また、襟を取る手の片方は逆手で取ることもあるという。
その風景は筆者に、小説「姿三四郎」で知られる「山嵐」を想起させた。
「山嵐」は「姿三四郎」のモデルと言われる講道館草創期の四天王のひとり・西郷四郎が実際に得意とした技である。
が、その実態は必ずしも明らかでなく、いくつかの説がある。
講道館に残されている形は、釣り手で片襟を逆手でとり、払い腰のように払い上げて投げるもの。(写真2を参照)
主な異説としては、会津生まれの西郷が講道館柔道以前に学んだとも言われる「大東流」(合気道の原点であるが、とかく謎が多い流派)の技法を応用したというものがあり、それは大外刈りと合気道でいうところの「四方投げ」(腕を極めて相手をその後方に倒すもの)とをミックスさせたような形である。(写真3・4を参照)
「韓国背負い」には、これら二説との技法的な共通項があるように思えてならない。
まして西郷は、当時としては珍しかった左組みであったとされており、つまりほとんどの場合「喧嘩四つ」で闘っていたのだから・・
この「山嵐≠韓国背負い」説は、単に筆者による奇説にすぎないし、妄想ともいえるかも知れない。
だが、ここで思う。
技術は「伝承」されるものであることはもちろんだが、まずは「開発」されるもの。
同じように組み合って闘う武術においては基本的に同じ構造の人間、古今東西を問わず類似する技法が現出して然るべきであろう。
たとえば、高専柔道の技法を今に残した書籍や映像を観ると、グレイシー柔術以降の競技ブラジリアン柔術において使われ始めたテクニックに酷似するものが多いことに驚かされる。
創意工夫し「開発」することが何よりも重要なのだ。
日本の小野選手による「韓国背負い」がきまった瞬間。
90年代「空手道」誌において「姿三四郎」が扱われた際に掲載された、
講道館指導員による「山嵐」の実演。
演武しているのは筆者の恩師でもある坂下誠五段(当時)。
同じく「空手道」誌に掲載された、大東流応用説に基づいた「山嵐」。
演武しているのは、なんと中井祐樹先生!
会津にある西郷四郎の銅像。
「山嵐」の形は大東流応用説を採用。
壮年の西郷四郎と、義父である元会津藩家老・西郷頼母。
西郷頼母は、話題の大河ドラマ「八重の桜」において
西田敏行氏が演じているところである。
高谷聡(こうたに・さとし)
パラエストラ吉祥寺・代表。
ブラジリアン柔術・黒帯、柔道四段。
JBJJF公認A級審判員。
現CSF(コンバット・サブミッション・ファイティング)王者。
CSF王座は2007年6/1、ニュージーランド、オークランド、トラスト・スタジアムにて前王者、ニール・スウェイルスと戦い、これを延長戦の末にポイント判定で降し王座獲得。
王座獲得の後、2年ぶりに王座防衛戦を行い、激戦の末に王座防衛を果たす。(2009年5月)
★CSF王座防衛戦の様子はコチラから!
★CSF王座獲得のの詳細は2007年06月01日のこのブログのニュージーランド編を参照のこと。
☆ニュージーランド編はコチラ、画像はコチラ!
★著者経歴
・昭和45年2月11日生まれ、43才(独身)
・昭和57年、12才で武道を始める。
・昭和59年、合気道初段。
・昭和61年、16才で柔道に転じ以降、高校・大学・実業団にて選手として出場。
・現在は母校の柔道部監督を務める。
・平成7年、柔道4段取得。
・実業団所属時代、鈴木道場サンボクラスに入門、初段を取得。
・平成9年、鈴木道場サンボクラスに出稽古の中井祐樹先生と知り合う。
・同年末に開設されたパラエストラ東京(当時パレストラ東京)に入門、ブラジリアン柔術を始める。
・平成13年、パラエストラ吉祥寺を設立。
・平成17年、ブラジリアン柔術の黒帯を取得。
・好きな女優は池脇千鶴、おニャン子クラブでは白石麻子が好きだった。
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