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2014年01月15日

高谷コラム:推薦図書「バイタル柔道」

昨年末、数年来絶版となっていた日貿出版社「バイタル柔道」投技編および寝技編が新装改訂・再版された。

言うまでもなく、東京五輪・リオ世界選手権・全日本選手権の3大タイトルを制覇した不世出の柔道家・岡野功による渾身のシリーズ。

柔道選手はもちろん、多くのブラジリアン柔術選手にとっても既読であろうが、今般の再版を機により多くの方に目にふれてほしい名著である。

アントニオ・ホドリコ・ノゲイラが愛読していたことも、記憶されるところだ。

ブラジリアン柔術選手にとって大いに参考となるのは、やはり「寝技編」であろう。

ある程度のレベルに達した柔道選手向けであったため、攻撃パターンといったものに紙面を割き、多くの柔道技術書に見られる抑え込みの形や逃れ方などの技術は割愛されている。

その分、ブラジリアン柔術ならばパスガードやスイープ、サブミッションとカテゴライズ、そのまま用いることも出来る技法が満載である。

加えて、立ち技から巧妙に寝技に持っていくような捨身技術や、「亀」へのアタック法などは、ブラジリアン柔術教則にはあまり掲載されないものであるが、だからこそ大いに参考となるのではないだろうか。

もちろん「投技編」も、大いに推奨されなければならない。

担ぎ技や足技、腰技といった投技だけでなく捨身や返し技、あるいは「脚取り」に関しても極めて実践的。

これもブラジリアン柔術教則では少ない「テイクダウン」技法解説として、ぜひとも取り入れ応用されてほしい。

初版からそれぞれの巻末に掲載されていたコラム、そして今回の新装改訂で付け加えられた柔道競技規則の変遷と岡野功インタビュー。

これらも全ての競技者、そして武人に必読の内容である。

特に、岡野功による「稽古」論は壮絶だ。

今なぜ「バイタル柔道」復活なのか?

実は、この書籍に掲載されている技術のいくつかは近年の柔道競技規則改訂により反則となっている。

幅が狭まっていく柔道競技へのアンチテーゼであろう。

そしてブラジリアン柔術のような、柔道と根を同じくする競技に応用されることも、名著復活の意義であるとも思えるのだ。

(文中敬称略)



t2
昨年12月に新装改訂された「バイタル柔道」投技編と寝技編。
初版はそれぞれ1972年・75年。
約40年に渡って読み継がれている名著である。


t1
2003年に日本スポーツ出版社より刊行された中井祐樹先生による「バイタル柔術」。
そのネーミングは間違いなく「バイタル柔道」のオマージュであろう。




高谷聡(こうたに・さとし)
パラエストラ吉祥寺・代表。
ブラジリアン柔術・黒帯、柔道四段。
JBJJF公認A級審判員。

現CSF(コンバット・サブミッション・ファイティング)王者。
CSF王座は2007年6/1、ニュージーランド、オークランド、トラスト・スタジアムにて前王者、ニール・スウェイルスと戦い、これを延長戦の末にポイント判定で降し王座獲得。
王座獲得の後、2年ぶりに王座防衛戦を行い、激戦の末に王座防衛を果たす。(2009年5月)
★CSF王座防衛戦の様子はコチラから!
★CSF王座獲得のの詳細は2007年06月01日のこのブログのニュージーランド編を参照のこと。
☆ニュージーランド編はコチラ、画像はコチラ

★著者経歴
・昭和45年2月11日生まれ、43才(独身)
・昭和57年、12才で武道を始める。
・昭和59年、合気道初段。
・昭和61年、16才で柔道に転じ以降、高校・大学・実業団にて選手として出場。
・現在は母校の柔道部監督を務める。
・平成7年、柔道4段取得。
・実業団所属時代、鈴木道場サンボクラスに入門、初段を取得。
・平成9年、鈴木道場サンボクラスに出稽古の中井祐樹先生と知り合う。
・同年末に開設されたパラエストラ東京(当時パレストラ東京)に入門、ブラジリアン柔術を始める。
・平成13年、パラエストラ吉祥寺を設立。
・平成17年、ブラジリアン柔術の黒帯を取得。
・好きな女優は池脇千鶴、おニャン子クラブでは白石麻子が好きだった。

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【今日が誕生日の柔術家】レーザ・モンファラディ、アレッシャンドレ・フランカ・ノゲイラ(36)、エルビス・マチャド(36)



©Bull Terrier Fight Gear


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