2016年08月12日
【セミナー】ヒクソン・グレイシー・セミナー・レポートby後藤悠司
7/16(土)、朝の9時半から3時間のセミナーの為に柔術家達が列をなして東京武道館の第一武道場に入ろうとしていた。
武道場に入るとヒクソングレイシーが奥の方で参加者から少し離れて1人ストレッチをしていた。参加者は150人以上いる模様だ。
間も無くセミナー開始の号令で参加者達が道場の北の壁に並ぶが、人が幾重にも重なりあっている。
ヒクソンは質問があれば何時でも聞いてくれと言った。正面とお互いに礼をするとセミナーが始まった。
ヒクソンは皆に広がるようにと指示を出す。腰を回したり腰で相手を持ち上げるような動きを練習させた。「腰が一番柔術には大切だからな」と言った。
その後立った状態でヘッドロックをさせて相手を持ち上げる動きを練習させた。腰の入れ方の練習だ。
腰は頭と連動させて背骨にコネクションを作る。頭を固定してこそ、腰が入ると言う。これを大腰などにも応用させる。
セミナーが始まり2つ程腰の入れ方の練習をするとヒクソンが皆に座るように言った。
風船を二つ取り出し、胸呼吸と腹式呼吸で膨らまして如何に腹式呼吸で多くの空気を吐き出せるかを見せた。
呼吸法の大切さを自身の体験を持って説明し、格闘技だけではなく普段の生活にも大変役立つという。
呼吸法を使えると戦う時には持久力が増し、気持ちを平穏に保ち、頭をクリアにし思考力を向上させるという。
ヒクソンが現役でバーリトゥードで戦っていた時、試合前でも心拍数を60程度に抑えていたという。
だから試合が始まっても相手よりも疲労が遅く相手をフィニッシュするチャンスをモノにしてきたのだという。
また参加者からの質問で何故呼吸法に興味を持ち始めたかという質問ではバイオジナスティカの師オーランド・カニ氏との話や、無心になる為には呼吸法を使うという興味深い話しは尽きない。
30分ほど質問を交えながら呼吸の話をすると次はセルフディフェンスの講義へと移った。
この時にヒクソンはすでに大汗をかいていたがきっと呼吸法を実践している為に新陳代謝が高いのだろう。
真剣に参加者の質問に一つ一つ答え力強い目を持つヒクソンはやはり多くの柔術家の憧れである。
ヒクソンはコネクション、ウエイトディストリビューション、ラベレージをライフワークとしていて、テクニックの手順を教えるよりも、コンセプトを教えると明言した。
最初は正面に対峙した時にどのように構えて、自身のウエイトディストリビューションを準備するか、そして相手を制して有利なポジションすなわち相手のバックに移行するか。
投げ技でグラウンドへ移行。
もちろん優位なトップポジションをキープする為のディテールは黒帯でも驚くようなヒクソンのオリジナリティに富んでいた。
マウントからのエスケープも基本的なブリッジとエビ両方を指導頂けたが、これらもコンセプトを根底から考えさせられる素晴らしいディテールだ。
私自身もクローズドガードからバックへ移行するテクニックの受けをさせて頂いた。
この時点でコネクションが大事と解っていたものの、どのようにしてそのコネクションを作ってそれをキープしておくかということは目から鱗であった。
その後もクローズドガードでのセルフディフェンスを幾つかの違う距離で使うテクニックを指導し、セミナーもいよいよ終盤に差し掛かった。
最後はギロチンチョークのディテールを指導したが、ヒクソンが「このテクニックは息子のクロンに習ったんだ。サンキュー、クロン!」と言い笑いを誘った。
しかし柔術は常に進化を遂げるというヒクソンの言葉の裏には「いつもオープンマインドで技を改良していく努力を怠るな」というメッセージがあるのではと考えさせられる。
余談ではあるが、この日は元AOJの石井拓選手とパートナーとして組ませてもらったが、彼はヒクソンのサイドコントロールを教授してもらいたくて仕方がない様子であった。
しかしフレンドリーながらもどこか張り詰めた空気が流れ、150人以上の参加者から次々に出てくる真剣な質問の中で手を上げてトピックを変えるような質問をするのが憚れるようで石井選手はなかなか言い出せず。
結局最後の質問ですと通訳を務めていた渡辺孝正先生が言う時まで手を挙げられず、最後はその努力も虚しく無念のままにセミナーを後にしていた。
しかしヒクソンが言う通り、どのテクニックも1日を持ってしてならず、練習を積み重ねるのみだ。
セミナー終了は予定時間の12:30を15分過ぎたが、会場の都合上全員の集合写真を撮ると直ぐ第一武道場より撤収という運びになった。
ちなみにこの日はヒクソンの奥方が同行してセミナー中も写真を撮っていた。
もちろん、ヒクソンとのツーショット写真希望者が多く、彼らは列をなしセミナー終了後も1時間以上に及び東京武道館のロビーで記念撮影やサインを求めていた。
サインをするヒクソンの後ろでは奥方がヒクソングレイシーTシャツやパッチをトランクから出し、多数の参加者が買い求めていた。
ヒクソンは笑顔で一人一人と挨拶を交わすが、時折腰を曲げて痛そうにしている姿は人生を柔術に捧げてきた1人の男の代償なのか。
この日は会場に来ていた柔術家は白帯から黒帯まで様々だったが大多数がAXIS系の道場の方のようだった。
私自身のビデオブログを見てくれているという方にも数人お会いする事が出来、大変嬉しく思った次第。
そして初めてヒクソン先生とお会いし指導を頂けた事に胸を躍らせながら帰路に着いた。
ヒクソンに記念撮影を求める長蛇の列。
この記念撮影&サイン会は1時間以上にも及んだ。
一心柔術・後藤悠司代表とヒクソン・グレイシー。
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