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2017年06月10日

【レポ】ムンジアル2017:黒帯決勝戦 Part.1

00
ムンジアルの黒帯決勝戦は大会最終日の午後から夕方にかけて1面進行で行われるのが通例となっている。

今年のムンジアルを一言で言い表すならば「波乱」というのが一番しっくりくるだろう。

大会前には昨年度の王者であるパウロ・ミヤオとレオ・ノゲイラのステロイド陽性反応による2年間の出場停止処分が発表され、またムンジアル6回優勝のハファ・メンデスが電撃引退も衝撃を与えた。



そしてADCCイヤーの今年はADCCに専念するためにムンジアルを欠場する選手もおり、大会前からこの波乱の序章は始まっていたかに思えた。

そんなムンジアルの黒帯決勝戦を2回に渡ってレポートしたい。

まずはルースターからミディアムヘビーまでの5階級をまとめて紹介する。


01
ルースター決勝戦
ブルーノ・マルファシーニ(アリアンシ)
vs
カイオ・テハ(ブラザCTA)

過去幾度となく激戦を繰り広げている両者がまたも決勝戦で雌雄を決する。
前半は50/50のように互いに足を絡み合わせて膠着気味な試合展開になるもブルーノもカイオもスイープを2回ずつ決めてP4-4からアドバンテージ2-1でブルーノが接戦を制した。
だがこのアドバンテージを巡ってカイオが猛烈に抗議するも判定は覆ることはなかった。



02
今回の優勝でブルーノが通算9回目のムンジアル制覇。
今大会後にはMMA転向を明かしており、来年の出場はまだ未定とのことだが、もし出場して優勝したら前人未到のムンジアル10回優勝という偉業となる。
ブルーノの今後の動向に注目したい。



03
ライトフェザー決勝戦
ジョアオ・ミヤオ(PSLPBシセロコスタ)
vs
マイキー・ムスメシ(ブラザCTA)

この2人もブルーノとカイオのようにライバル関係にあり、過去の対戦ではマイキーの全勝という結果に終わっている。
既報のように双子の兄・パウロが2年間のサスペンドでムンジアル不在でその兄の不在の穴を埋めるようにルースターからライトフェザーに階級アップして出場しムンジアル初優勝を目論んだジョアオだったが、またもマイキーに0-0/2-1で惜敗。



04
マイキーが優勝したことでムンジアル史上4人目の男子黒帯アメリカ人世界王者誕生となった。
ちなみに過去のアメリカ人黒帯世界王者は2000年のBJペン、2005年のロバート・ドライスデール、2007年のハファエル・ロバトJR、そして今年のマイキーで、この10年ぶりの快挙に全米が沸いている。



05
フェザー決勝戦
フーベンス・シャーレス“コブリンヤ”(アリアンシ)
vs
レオナルド・サッジオーロ“カスカオン”(BTT)

波乱続きの今大会の中でもこのフェザー級が最も波乱に満ちた階級だった。
ハファの電撃引退に昨年の準優勝者で優勝候補最右翼だったマーシオ・アンドレの敗退、そして並みいる強豪の中からダークホースのサッジオーロの決勝戦進出を誰が予想したことであろうか?
だがそのサッジオーロもコブリンヤに肉薄したが一歩及ばず2-2/1-0でコブリンヤが復活優勝を果たした。



06
コブリンヤが初優勝したのはまだブラジル開催だった頃の2006年で、その2006年から2009年まで4連覇を達成。
その後はハファ・メンデスやタンキーニョら新世代に優勝を阻まれていたが、そのハファも引退しタンキーニョもMMA転向でムンジアル不在となり、今回の復活優勝となった。
実に10年以上に渡ってトップに君臨するコブリンヤはさすがに全盛期の圧倒的な強さは見られなかったが、その衰えを経験でカバーしてのムンジアル制覇はさすがという他ない。



07
ミドル決勝戦
ガブリエル・アルジェス(グレイシーバッハ)
vs
マルコス・ティノコ(アリアンシインターナショナル)

どちらが勝っても初優勝というフレッシュな顔合わせとなったミドル級。
アルジェスはワールドプロ王者で昨年のムンジアルはオタービオ・ソウザとクローズアウトして準優勝だった。
対するティノコはマルセリーニョ門下の選手で、まだビッグタイトル獲得には至っていない。
そんな両者の対戦は終始アルジェスが優位に試合を進めて最後は絞めで9:00 一本勝ちでムンジアル初優勝を決めた。



08
アルジェスは今年、賞金トーナメントのグランドスラムを主戦場にしており、各地を転戦し軒並み優勝して高額賞金を手にしている。
そのためIBJJFではヨーロピアンもパンも不出場だったが、ムンジアルにのみ照準を定めてきっちり結果を残し、ワールドプロ&ムンジアルの世界2冠を達成している。



09
ミディアムヘビー決勝戦
アンドレ・ガウヴァオン(ATOS)
vs
パトリック・ガウジオ(GFチーム)

ここ数年はヘビーやスーパーヘビー級にエントリーしていたアンドレが階級を落としてミディアムヘビーに参戦し決勝戦に勝ち残った。
反対ブロックからは成長著しいGFチームの若手、パトリック・ガウジオが勝ち上がってきており、この階級は“ベテランvs新鋭”の図式となっている。
試合はクローズドガードを多用したアンドレがパトリックの動きを封じる動きの少ない試合展開で両者に膠着のペナルティが2つずる入ったが、最後は2-2/1/1/2-2からレフェリー判定でアンドレが金メダルを手にした。



10
アンドレが黒帯でムンジアルを優勝したのは2005年のこと。その後2008年にも再度ムンジアルを制覇し、2014年にはプレギーサに敗れ準優勝だったが、そのプレギーサがステロイド陽性反応により優勝剥奪・記録抹消となって、アンドレが繰り上げ優勝になっている。
このアンドレもコブリンヤと同様に10年以上もトップに君臨し続ける息の長い選手といえるだろう。



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