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2018年08月22日

【Review Wednesday】『木村政彦 柔道の技』

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みなさんおつかれさまです、元Jiu Jitsu NERDライターの成田です。

昨年(2017年)は木村政彦生誕100周年ということで、木村氏の地元発の米焼酎「キムラロック」が柔術界隈でも話題を呼びましたが、その盛り上がりは現在も続いているようです。

というのもみなさんご承知の通り、このお盆明けに2冊の木村関連本がイースト・プレスから同時刊行されました。一冊は増田俊也氏の著書『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』の外伝となる『木村政彦 外伝』、そしてもう一冊は今回紹介する柔道教則本『木村政彦 柔道の技』です。

前回のBJJ-WAVEで2冊の書籍デザインを担当した戸倉さんが詳しく解説してくれていますからそちらを聴いていただければ事足りるわけですが、おこがましくもレビューを続けると、『柔道の技』は1974年に刊行され、その後何度か版を重ねて現在は絶版となっていたものを木村氏のご遺族の協力によって復刊したもの。しかも、再版の度に削られたり足されたりした技のすべてを収録した完全版とのことです。

というわけで目次から紹介すると、

はじめに
柔道の沿革
記憶に残る試合
柔道が強くなるためには

Section.1 投技編
第1章 投技の基本動作
第2章 手技
第3章 腰技
第4章 足技・捨身技

Section.2 寝技編
第1章 寝技の基本動作
第2章 抑込技
第3章 関節技
第4章 絞技


という構成で、投技編、寝技編それぞれの最後にはNEXUSENSE主宰、そして木村政彦研究家である植松直哉さんの解説も収録されています。

木村氏いわく、本書は「牛島辰熊先生、故大谷晃先生初め、多くの指導者の教えを貪欲に吸収し、成長しながら、一方あらゆる試合に出場して対戦した達人、錬士の抜群の特技を研究し、これを打破する工夫に腐心しながら自分なりに心血を注いで体得した技、数々の大試合で実施し、成功した実践的技術」を選んで解説したもので、「世に出た幾多の解説書と多少相違する点もあるかと思われる」ということですが、高校時代は剣道を選択して柔道はまったくの門外漢の自分ではもちろん理解することは不可。

ただ、例えば木村氏の代名詞のひとつといわれる大外刈のページを開けば「ここで解説する大外刈の技法は筆者独特のものであり、したがって、他技と左右の引き手、刈り足の方向などが異なって」などとあり、いわゆる模範との違い、木村氏が磨き上げてきた技の真髄が垣間見られる内容なのだと思います。

それぞれの技については「技を掛ける機会」「注意する点」「防御」「(技の)ポイント」「返し方」「連絡技」などが細かに解説されていて、練習時と試合時で技のかかり具合が違う点に触れられているほか、相手の反応に合わせた技のバリエーションやコンビネーションについてもしっかりページが割かれています。

エリオを破った腕緘=キムラについてはシチュエーション別に10パターン紹介されていたり、三角絞めのパートでは高専柔道について触れられていたりと、寝技の章の充実具合もいわずもがな。

個人的には裸絞のページで「柔道対ボクシング、柔道対レスリングの試合などがあって、相手が道衣をつけていない関係上、よくこの技を柔道家が利用したものである」と解説されていて、当時の柔道家は柔道の試合はもちろん、何でもありのバーリトゥードを想定して日々の稽古をしていたのか……と改めて感慨深くなりました。

古い書籍の復刊ですし、写真は少なめかと勝手に思っていましたが、最近の技術本と変わらないほど写真図解が豊富で、腰や足の位置を解説する詳細写真では木村氏本人が裾をわざわざまくっているところも見られます。出版当時、木村氏は50代後半だったと思われますが、見るからにガチガチでゴツイ脛に「日本柔道史上最強」の片鱗を見た気がしました。

と、素人が偉そうに書いてきましたが、本書の魅力は特別収録の植松さんの解説で他の書評が不要なほど雄弁に魅力的に語られていますから、まずは書店でそちらのページをチェックしていただければと思います!



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【今日が誕生日の柔術家】ディロン・ダニス(25)、エジ・ラモス(38)、磯部厚



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KinyaBJJ.com



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©Bull Terrier Fight Gear


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