2018年09月01日
【レポ】VHTS JAPAN presents Works by 岩崎正寛
CARPE DIEM所属、そして今年7月からVHTSのスポンサーアスリートとなった岩崎正寛選手のプロデュースで行われた今回のワークショップ。いわゆるセミナーは柔術界では珍しくありませんが、ワークショップと銘打ったものはなかなか聞かないように思います。
一体どんなことが行われるのか……皆目見当がつかないまま、台風12号が接近しつつあった当日、CARPE DIEM広尾に足を運びました。
Abu Dhabi Grand Slam Tokyoの前日、会場に集まっていたのは所属道場や帯色、年齢もさまざまな20名。「VHTSのドーギを持っていること」が参加条件だったため、みなさん各モデルを着用。自分も「G1 3.0 Blueberry」を着て参加しました。
はじめに岩崎選手から「Works」の趣旨が説明され、ここで「セミナーとワークショップの違い」などに触れられました。ざっくり書けば、
セミナー:インストラクターが参加者に対して技をレクチャーするもの
ワークショップ:参加者が知恵を出し合い、特定のシチュエーション下での最適解を探っていくもの
といった塩梅で、参加者同士のコミュニケーションに重きを置いているところも、インストラクター→参加者の一方通行で進められるセミナーとの大きな違い。
また、今回のテーマが「試合に勝つ」だったこともあり、岩崎選手は「技を覚えて帰るのではなく、試合に勝つための効果的な練習方法を学んで、普段の練習で反映してみてください」と話します。
岩崎選手は答えを教えるインストラクターではなく、参加者が主体性を持って課題に取り組むサポートをするファシリテーター的な立ち位置。こうしたワークショップは、海外でよく開かれているBJJ CAMP的なイベントでは一般的だといいます。
趣旨説明のあとは、いよいよワークショップ本番へ。
まず行われたのが、帯色、年齢、階級などを考慮した4人1組のチームに分かれてのシチュエーションスパーです。
これは「得意なガードをつくり、1分間でスイープする」というもので、特段珍しいものではないように思えましたが……。
いざガードをつくってもなかなかスイープできません。
これは自分だけでなくほかの参加者も同じだったようで、すかさず岩崎選手から「それで本当に返せますか? 必ず返せると思うポジション(組み手)から遠慮なく始めてください」とアドバイスが入ります。
ようは、このスパーはガードをつくった気になっていてもスイープを成功させるためにはさらなる手数が必要=組み手が中途半端だということや、スパー相手はもちろんディフェンスするわけですから、自信があるガードでも得意技として消化できていないことに気付くためのものだったわけです。
ここに意識的になれれば、自分にとって返しやすい組み手、スイープはどんなものなのかを考え、強み・弱点を理解して得意技を磨くことにもつながります。
普通のスパーは体力的にもできる回数が限られますし、試したい技がスパー中にできるとも限りません。しかし、シチュエーションスパーを繰り返せば、特定のガードでどんなことが起きるかを効率的に学ぶことができます。「記憶の仕方をシンプルにすることが大切」と岩崎選手は強調します。
ガードに入れられている側にとっても「ここまで組ませてしまったら危ない」とか「このガードの対処法は……」と瞬間で見抜く力を養えるこのスパーは、1分間、次に30秒間と時間設定を短くして続けられました。
次に行ったのが「残り時間2分、ガードに入れられた側がアドバン1リードしている(ポイントとペナルティは0)状況で、どれだけルーチにならずに下の相手をコントロールできるか」というシチュエーションスパー。
これは実際の試合を想定し「ルールを最大限利用して勝ちにつなげるための練習」で、残り時間を短く設定することで集中力も鍛えられます。
「試合開始30秒とラスト1分が特に集中力を要する時間」だと岩崎選手。あらかじめポイント差をつければ、限られた練習環境でも両者の力の差、体格の差などを同等に近づけることもできるといいます。
その後も参加者を2グループに分けてスタンドからの引き込み合いなどが行われ、質疑応答も含めて2時間を超えたワークショップは盛況理に終了。
試合開始直後や場外際、特定のガード下での攻防など、実際の試合に近い条件下での練習は、岩崎選手が自身の練習の中で体系立ててきたもの。
大学レスリング部の練習なども参考にしながら、試合で勝つための方法を常に考え続けているといいます。
「知識を以て練習しなければ技術は身につかない」「自分の目的に沿った自分なりの練習を集中して行ってきたからここまで強くなることができた」と話す岩崎選手。引き込み合いの練習時には参加者の挑戦を受けるサービスも。
集中力を要するためか普段の練習に比べて疲労感もなかなかのものでしたが、試合を控えた人が集まって自主練する時はもちろん、参加者が限られている柔術サークルでも取り入れやすいように思います。
「試合に勝つ」ことをテーマに初開催された「Works」は、岩崎選手のプロデュースで今後もテーマや参加条件を変えて継続していくとのこと。
次回の開催が決まり次第、改めてブラジルブログでもお知らせしたいと思います!
KinyaBJJ.com
©Bull Terrier Fight Gear
一体どんなことが行われるのか……皆目見当がつかないまま、台風12号が接近しつつあった当日、CARPE DIEM広尾に足を運びました。
Abu Dhabi Grand Slam Tokyoの前日、会場に集まっていたのは所属道場や帯色、年齢もさまざまな20名。「VHTSのドーギを持っていること」が参加条件だったため、みなさん各モデルを着用。自分も「G1 3.0 Blueberry」を着て参加しました。
はじめに岩崎選手から「Works」の趣旨が説明され、ここで「セミナーとワークショップの違い」などに触れられました。ざっくり書けば、
セミナー:インストラクターが参加者に対して技をレクチャーするもの
ワークショップ:参加者が知恵を出し合い、特定のシチュエーション下での最適解を探っていくもの
といった塩梅で、参加者同士のコミュニケーションに重きを置いているところも、インストラクター→参加者の一方通行で進められるセミナーとの大きな違い。
また、今回のテーマが「試合に勝つ」だったこともあり、岩崎選手は「技を覚えて帰るのではなく、試合に勝つための効果的な練習方法を学んで、普段の練習で反映してみてください」と話します。
岩崎選手は答えを教えるインストラクターではなく、参加者が主体性を持って課題に取り組むサポートをするファシリテーター的な立ち位置。こうしたワークショップは、海外でよく開かれているBJJ CAMP的なイベントでは一般的だといいます。
趣旨説明のあとは、いよいよワークショップ本番へ。
まず行われたのが、帯色、年齢、階級などを考慮した4人1組のチームに分かれてのシチュエーションスパーです。
これは「得意なガードをつくり、1分間でスイープする」というもので、特段珍しいものではないように思えましたが……。
いざガードをつくってもなかなかスイープできません。
これは自分だけでなくほかの参加者も同じだったようで、すかさず岩崎選手から「それで本当に返せますか? 必ず返せると思うポジション(組み手)から遠慮なく始めてください」とアドバイスが入ります。
ようは、このスパーはガードをつくった気になっていてもスイープを成功させるためにはさらなる手数が必要=組み手が中途半端だということや、スパー相手はもちろんディフェンスするわけですから、自信があるガードでも得意技として消化できていないことに気付くためのものだったわけです。
ここに意識的になれれば、自分にとって返しやすい組み手、スイープはどんなものなのかを考え、強み・弱点を理解して得意技を磨くことにもつながります。
普通のスパーは体力的にもできる回数が限られますし、試したい技がスパー中にできるとも限りません。しかし、シチュエーションスパーを繰り返せば、特定のガードでどんなことが起きるかを効率的に学ぶことができます。「記憶の仕方をシンプルにすることが大切」と岩崎選手は強調します。
ガードに入れられている側にとっても「ここまで組ませてしまったら危ない」とか「このガードの対処法は……」と瞬間で見抜く力を養えるこのスパーは、1分間、次に30秒間と時間設定を短くして続けられました。
次に行ったのが「残り時間2分、ガードに入れられた側がアドバン1リードしている(ポイントとペナルティは0)状況で、どれだけルーチにならずに下の相手をコントロールできるか」というシチュエーションスパー。
これは実際の試合を想定し「ルールを最大限利用して勝ちにつなげるための練習」で、残り時間を短く設定することで集中力も鍛えられます。
「試合開始30秒とラスト1分が特に集中力を要する時間」だと岩崎選手。あらかじめポイント差をつければ、限られた練習環境でも両者の力の差、体格の差などを同等に近づけることもできるといいます。
その後も参加者を2グループに分けてスタンドからの引き込み合いなどが行われ、質疑応答も含めて2時間を超えたワークショップは盛況理に終了。
試合開始直後や場外際、特定のガード下での攻防など、実際の試合に近い条件下での練習は、岩崎選手が自身の練習の中で体系立ててきたもの。
大学レスリング部の練習なども参考にしながら、試合で勝つための方法を常に考え続けているといいます。
「知識を以て練習しなければ技術は身につかない」「自分の目的に沿った自分なりの練習を集中して行ってきたからここまで強くなることができた」と話す岩崎選手。引き込み合いの練習時には参加者の挑戦を受けるサービスも。
集中力を要するためか普段の練習に比べて疲労感もなかなかのものでしたが、試合を控えた人が集まって自主練する時はもちろん、参加者が限られている柔術サークルでも取り入れやすいように思います。
「試合に勝つ」ことをテーマに初開催された「Works」は、岩崎選手のプロデュースで今後もテーマや参加条件を変えて継続していくとのこと。
次回の開催が決まり次第、改めてブラジルブログでもお知らせしたいと思います!
KinyaBJJ.com
©Bull Terrier Fight Gear