2026年04月09日
【インタビュー】50歳でアダルト制覇──高本裕和、“トラックポジション”で掴んだ全日本ノーギ優勝とアダルト4冠【ブラジリアン柔術】

50歳にしてアダルトカテゴリーを制し、JBJJFの全日本4冠という偉業を達成した高本裕和(高本道場)。
その戦いの軸にあるのは、一貫して磨き上げてきた「トラックポジション」への絶対的な自信だった。
自身の競技観から子どもたちへの指導、そして家族それぞれの挑戦まで、勝者の言葉には、年齢を超えて戦い続ける理由が詰まっていた。

──JBJJF全日本ノーギオープン優勝おめでとうございます。まずは試合の感想から教えてください。
高本:私の柔術はいかにトラックポジションに入るかなので、それだけを考えて試合をしています。今年で50歳なので、スクランブル合戦になると若者には勝てません。今回も無駄を省いて、一直線にトラックポジションにエントリーしました。トラックポジションに入れば絶対に逃さない自信があるので、慌てず丁寧に極めました。勝った瞬間は達成感もそこそこに、子ども達のセコンドにつくために「駒澤にいかねば」と気持ちを切り替えました。
──最近はASJJFの大会にも多く出場していますが、JBJJFとの違いは感じましたか?
高本:意識はしないようにしています。以前、慣れないルールの大会でルールを意識しすぎてしまい、順応しようとして間違った選択をして負けた経験があります。どのようなルールであっても、いつも通りの自分の組技をするだけです。
──今大会はアダルトカテゴリーでの出場でした。マスターとの違いはどんな感じだったでしょうか?
高本:それもあまり意識していません。トラックポジションまで早く辿りつければ短期決戦で終わるし、時間がかかれば長期戦になるというだけです。今回はミスなくそこまで行けたので、マスターの試合時間内で極めることができました。
──ギと並行してノーギにも出場していますが、取り組みの違いはありますか?
高本:私のスタイルはハーフガードとトラックポジションなので、ギでもノーギでもやることはほとんど変わりません。ギの練習がノーギにもなりますし、その逆も同じです。このスタイルは効率がいいと思います(笑)。
──今大会の優勝でJBJJFの主要大会のアダルト4冠を達成しました。達成感もあったここと思います。
高本:もちろんあります。大々的には言っていませんでしたが、近しい人には4冠を狙っていると伝えていました。試合後のインタビューでも話しましたが、この実績を評価していただいて、JBJJFの「Hall of Fame」に選んでいただきたいと思っています。
──お子さんたちも活躍しています。長女の千代さんも先日はMMAで勝利を納めています。
高本:千代は最初、本当に理解力が低くて、兄弟の中で一番叱ってきました。それがプロフェッショナル修斗で黒帯の村上彩選手に勝ち、インフィニティリーグを優勝しました。現在ランキング1位なので、このままタイトルマッチに勝ってチャンピオンになってほしいです。柔術でもニコリー(セキタニ)選手や吉永愛選手に勝っていて、JBJJFの全日本やASJJFのアジアオープンなどで優勝しています。これから世界を目指して頑張ってほしいですね。
──次女の珠緒さんは中学生ながらアダルトで結果を出していますね。
高本:珠緒は対戦相手を求めてアダルトに挑戦している側面が大きいです。女子の橙帯や緑帯ではティーンカテゴリーに相手がほとんどいません。ジュブナイル青帯も人数が少なく、同じ相手ばかりになってしまう。アダルト青帯であれば大人の選手やキッズ上がりの強豪も多く、良い経験を積めていますね。
──哲至選手については?
高本:哲至は家族の中で最も身体能力が高いです。ただ怪我が多く、2025年は4回も骨折していました。十分な練習ができない中で試合に出ていましたが、回復とともに継続して練習できるようになり、成績も上向いています。怪我がなければ、さらに伸びると思うので期待しています。

長女・千代

次女・珠緒

長男・桂輔

次男・哲至
──父親として、指導者としての関わり方は?
高本:家で特別な個別指導はしていません。道場の通常クラスに参加させて、一般の会員と同じように指導しています。その中で気づいたことを伝える程度です。もう手取り足取り教える年齢でもないので。ただし「出稽古に行きたい」と言われた場合は、信頼できる場所に繋ぐようにしています。
──それぞれの目標を教えてください。
高本:2026年の目標として、千代は修斗のチャンピオン獲得とSJJIF世界選手権優勝。哲至は全日本アマチュア修斗優勝とSJJIF世界選手権優勝。珠緒は柔道の都大会優勝と全中出場、そしてSJJIF世界選手権優勝です。
──ご自身の今後の目標は?
高本:競技面ではIBJJFのワールドマスター・ミドル級優勝です。ただ今年はSJJIF世界選手権と日程が重なるため出場しません。子ども達が出場するので、サポートを優先します。そして長期的には、高本道場の皆が「柔術をやって良かった」と思える環境を作ることが目標です。


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